2004.05.05 自然農薬の話

去年の秋から、農薬の散布をやめた。
でも、やっぱり何かしてあげなければいけないのじゃないかと落ち着かない。幸い今はプロもアマもこの手の研究をしている人がたくさんいて、インターネットで簡単に情報が手に入る時代だ。いろいろ調べていると、いわゆる自然農薬や天然成分の保護液などのなんとまあたくさんあること!販売元の謳い文句を全面的に信用すれば、この世の害虫も病気もまず一掃されるのではないかと思われる。

けれども、私は木酢液も録豊も碧露も以前試したことがあるけれど、どうもいまいち納得できない。使い続けなければ効果がないとか、殺虫ではなく忌避効果だとか、それはそれでいいのだが、散布するとどうも植物が元気をなくすような気がするのだ。めだった薬害が出るわけではないのだけれど、「あれ?なんか違う」的な感覚である。ちなみに私はよくわからないものはたいがい規定より倍以上は薄く希釈するようにしている。
効果がないだけならば、気休めでも続けて使ってみようと思うのだが、私は世間の評判よりも自分の「なんかヘン」的な感覚を優先してそのうち使わなくなってしまった。

 

時間があればニンニクやとうがらしも使ってみたいし、アセビやドクダミなどもいいらしいのだけれど、とにかく今は簡単にできるものじゃないと続けることが出来ないので、いきおいまた目新しいものを探して購入することになる。今回は、ニームオイルとキトサン溶液なるものを買ってしまった。さて、いかがなものか・・。

いろんなものを散布すると良くないらしいので、散布はニームオイルだけにしてキトサンは土壌潅水と決めた。
ニームオイルは油なので水と溶けにくいらしい。ならば乳化させればいいと考えて、乳化剤と展着剤をかねて台所用液体天然石鹸を少し混ぜてみることにした。石鹸水は牛乳と同じでアブラムシに効果があるらしいから一石三鳥だ。環境にも優しい。完璧!と自己満足する。ただし薬害を極力避けるため、希釈は1000倍で試し、散布は夕方。パンフに書いてあった薬害の恐れのあるハイビスカス等にはかけない。小動物に影響ありのようなので、プースケは完全防備しなければ・・・・。

ああ、もうこれだけで疲れてしまう。あれはダメ、これはダメ、こうしなければああしなければ・・・なんで人畜無害がウリの自然保護薬を散布するのにこれほど気を使わなければならないのか。
やっぱりなんとなく納得できないズッキィなのである。

結果はというと、秋から春にかけてはかなり良かったように思う。これもなんとなくだけれども、「あ、なんか緑が生き生きしてるかも?」的な感覚だった。石鹸のワックス効果で葉がつやつやして見えただけかもしれないけど。害虫に効果があったかどうかはまったくよくわからない。
ただ、今年はまだ害虫の発生が少ないことは確かだ。ウドンコも黒点もほとんどない。殺虫剤を撒いていないせいかテントウムシなどの益虫の姿も多く見られるから、このせいかもしれない。冬に、寒風に震えながらせっせと枝一本一本に刷毛で石灰硫黄合剤を塗りたくった成果かもしれない。

でも良く考えたら、虫が活躍し始める季節はこれからという気がする。病気が出始めるのも入梅後のことだった。
それなのに、そろそろニームオイルは使えない季節らしい。「あれ?なんかヘン」が発生した。少し目に見える薬害が出ている。どうも気温が高くなるとダメみたいだ。今年は4月から初夏のような陽気が続いていたから、これだな・・。かなりがっかりのズッキィであった。

ところで、今まで書いてきた「らしい」で始まり「らしい」で終わる、なんとも科学的根拠のないお話と、ワラにもすがる思いで「らしい」に飛びついてしまうガーデナーの滑稽な姿、コレ、何かに似ていると思いませんか?
ついでに言えば、売ってるものもおんなじ・・・そう、女性の永遠のテーマ、「ダイエット」。
「木酢」しかり、「キトサン」、「ニームオイル」、それから今の有機農法でよく見かける「米ぬか」「にがり」などなど。園芸で検索したいのに、なぜかいっしょに引っ掛かってくるのが美容とダイエットなのだ。これに気付いた時、心の中でちょっと苦笑してしまった。私はあまり美容にもダイエットにもお金をかけない人間で、それに目の色を変える友達や先輩方を少し気の毒に思っていたくらいなのだが、園芸に関してはまったくその苦労と努力たるやいっしょではないか。
なんとも情けない笑い話である。

<またまた次回に続く>