2004.05.15 庭と出会いと

ズッキィの休日は、家事を除いてほぼ庭に始まり庭に終わる。 
生垣で囲まれたようなプライベートガーデンというわけにはいかないので、 ご近所の奥様方が買い物に行ったりゴミ捨てに行ったりと外に出るたびに、庭でゴソゴソ何かしている私を目撃することになるわけで 、ご近所さんからはさぞ呆れられているのではないかと思う。 
ガーデニングに興味のない人にとっては、庭仕事はどちらかというと「労働」の部類に入るらしく、 しかも汚い格好で髪を振り乱して草むしりなんぞしている私を見て 「ご精が出ますね」とか「えらいですね」などと言われるとかなりバツが悪い。 「いえいえ趣味ですから、あはは・・」なんて笑ってごまかすが、内心は「あ〜、かっちょ悪いなあ」である。 
決して草むしりが趣味なわけではないのだ!できれば、色とりどりの花が揺れる青い芝の上でパラソルを広げてティータイム、な〜んて優雅なシチュエーションでご近所のかたとあいさつを交わしたいと願う。

そんな夢のような日がいつかやってくるのかどうかはわからないが、現実のレベルで言えば、「庭がきれいですね」と道行く人から 声をかけられることはとてもうれしいことだ。うちの前の道路が毎朝の散歩コースになっているかたとはもう顔なじみ。 うちで取っていない新聞の新聞配達屋さんからも「毎朝ここを通るのを楽しみにしている」なんて言われた日には、 「こんどゆっくりお茶を飲みに来て下さいね」と、あんまり実現しそうにない約束までしてしまう。 
我が家の庭は今年で3年目でまだまだ稚いとは思うのだけれど、 自分の愉しみが見ず知らずの人をも楽しませているというのはとてもワクワクすることだ。

ガーデニングも仲間がいるともっと楽しい。 インターネットを通じて、ガーデニングが趣味のお友達ができた。 日本は縦に長いから、北にお住まいのかたや南にお住まいのかたとお話をすると、季節や天気がちょっとズレていたり、 気候の違いで植物の育て方が違っていたりしていて実に楽しい。 もっと交友を広げて海外のかたとお知り合いになれたら、きっと目からウロコな話がたくさん飛び出すんだろうな。 そんな機会があることを期待している。

近隣に仲間がいるともっと楽しいだろう。 ここに住んで3年目だが、仕事で平日留守が多いせいか、なかなかお友達のできないのが現実だ。 
 ウチの前が散歩道でウチの庭を楽しんでくれる人がいるように、 実は私も通勤途中に庭のきれいなお宅を見つけては楽しんでいる。 主人も「あそこの家のミモザアカシアはでかい」とか「あっちのどこそこの家の壁泉がすごい」とか、 けっこうチェックを入れているらしいところが笑える。しかし、きれいなお庭のお宅を訪ねて、「ガーデニングお好きですか?お友達になりませんか?」と聞いてまわる訳にもいくまい・・・。
と思っていたら、先日 ガーデニングが趣味というご夫婦が庭仕事をしている私に声をかけてくれた。 
よく話を聞いてみたら、「我が家と同じブロックのお宅の中では一番きれいだよね」と私と主人の意見が一致しているお宅のご夫婦だった。 そのご夫婦も、我が家の庭がとても気になっていたのだと言った。
いろいろと話もはずんで、「お庭をみせていただけて感激ですぅ」なーんて言われてこちらも感激。奥さんの好奇心に満ちたクリッとした丸い目が可愛いなあと思いつつ、ズッキィの決して大きくはない細い目もキラキラしてしまったのだった。 このご夫婦とお知り合いになれたことが、私の最近の一番うれしかった出来事である。

5月も中旬となり、バラが満開となろうとしている。 
お隣りの奥さんに、「見学の人がたくさん来てますよ」と教えていただいた。 
家の中にいても、外の「わあ、きれいねえ」という声が聞こえてくる。 
バラに気づき、スピードを落としてゆっくり通り過ぎていく車がある。

猫のひたいのズッキィガーデンに、短い至福の季節が訪れたようだ。